鷹の夢

 鷹は夢を見ていた。太陽と月が同時に空に浮かんでいる夢だった。太陽は明るく輝き、月は静かに微笑んでいる。鷹はその光景に魅了された。鷹は太陽と月の間を行き来して、どちらにも近づこうとしたが、どちらにも届かなかった。鷹は悔しくて、もっと高く飛ぼうとしたが、空はどんどん広がっていく。鷹は疲れて、やがて地面に落ちた。鷹は目を覚ました。


 鷹は目を覚ますと同時に、自分の身体に違和感を感じた。鷹は自分の羽を見て驚いた。羽は白くなっていたのだ。鷹は自分の姿を見るために、近くの池に飛んだ。池の水面に映ったのは、鷹ではなく、鳩だった。鷹は信じられないと思った。自分は鷹なのに、なぜ鳩になってしまったのだろうか。鷹は混乱して、池の周りを飛び回った。すると、白鳥たちが鷹に気づいて、近づいてきた。白鳥たちは鷹に優しく声をかけた。


「こんにちは、あなたは新しい仲間ですか?」

「いいえ、私は鷹です。鳩になってしまったのは、夢のせいです」

「夢? どんな夢を見たのですか?」

「太陽と月が一緒に浮かんでいる夢です。太陽と月の間を飛んでいたら、鳩になっていました」

「なるほど、それは不思議ですね。でも、本当にあなたは鳩になってしまったのでしょうか。あなたはもともと鳩だったのではありませんか?」

「どういうことですか?」

「言葉通りの意味です。あなたはもともと鳩だったが自分のことを鷹だと思い込んでいた。夢から覚めてそのことに気が付いた、というだけなのではありませんか?」


 確かにそう考えれば筋は通る、少なくとも一夜にして鷹が鳩に変わるよりも、よっぽど現実的だ。自分自身の認識と折り合いさえつければ、それでなんの問題もないだろう。


「なるほど、参考になりました。でも私は自分のことを鷹だと認識しています。あなたの意見をすぐに受け入れるのは難しそうです」

「その気持ちはわかります、それで解決するなら、あなたは悩んでいないでしょうし」

 そう言うと白鳥は、飛び立つ姿勢をとった。

「あなたのお役には立てませんでしたが、いつかあなたが自分自身になれる日が来ることを祈っています」

「ありがとうございます」


 白鳥たちが飛び去ると、鷹はひとりになった。そして周囲に誰もいない場所を探し見つけると、目を閉じて、再び眠りについた。


 鷹は夢を見ていた。

 太陽と月が同時に空に浮かんでいる夢だった。

 太陽は明るく輝き、月は静かに微笑んでいる。

 鷹は太陽と月のどちらにも近づこうとしたが、どちらにも辿り着けない。

 鷹はもっともっと高く飛ぼうとしたが、空はどんどん広がっていく。

 やがて、鷹は疲れて地面に落ちた。

いろはうたう

素敵なものが欲しいけどあんまり売ってないから小説を書いてます

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